LPGAは17日、来季の日程などを発表した。そのなかで小林浩美会長は再度、笠りつ子について言及した。
「笠りつ子プロの不適切発言により、多くの皆様にご迷惑とご心配をおかけしました。心よりおわび申し上げます。来年の笠プロの復帰に際しましては、皆様の温かいご支援をよろしくお願い致します。協会としても大会側とコミュニケーションを密にして、気持ちよくゴルフ場を使わせていただけるよう努力して参ります」と謝罪した。(スポーツ報知)
どこまでも頬被りする鉄面皮に感心する。ロクに真相解明もせず、再発防止策も取らず、ただ応援してくれの繰り返し。しきりに話題になる、品格もなく見識も低いスポーツ協会トップと何ら変わるところがない。
選手時代はあけすけな性格で好感を持っていたが、大抜擢した功労者・樋口久子前会長を顧問に退かせるなど恩を仇で返すようなことをしているとの指摘もあり、地位が人を変節させた好事例である。
いま女子プロゴルフ業界は、わが世の春を迎えている。しかし、君臨する協会長が自浄作用を発揮しなければ、いずれ大叩きされることを一連の協会不祥事劇で見てこなかったのだろうか。栄華盛衰を忘れて一部の関係者の利益を最優先し、心技体の「心」を軽んじて商業主義にまい進するならば、反対勢力が台頭するのは必定である。この会長の背後には、利益を共有する一派が存在するはず。業界が大きくなれなるほど、そこに分派が発生してくる。
男子ゴルフは現在、男子プロを統括する日本プロゴルフ協会(PGA、会長:倉本昌弘)、日本ゴルフツアー機構(会長:青木功)、機構の選手会長が石川遼である。ゴルフの世界は練習場連盟やレッスンプロなど細分化されており、それぞれが利害を共有したり反目したりして現在に至っている。たとえば、「ティーチングプロ」という名称を巡って争いが起きたことがある。
この名称を日本で初めて名乗ったプロのA氏はかつて、ツアー選手を目指していたが怪我で断念。教えるプロを目指した。ところが、70年代のゴルフブームでプロ選手志望者が急増し、途中でレッスンプロに転向した若手プロが多く生まれた。すると、それまで練習場で細々と教えていた長老のレッスンプロたちが職場を奪われると協会に泣きつき、若手レッスンプロの入会を阻止しようとしたのである。レッスンプロを10年の経験年数で区切り、それに満たない者はプロを名乗れないようにした。そして練習場業界に若手の彼らを雇用しないよう働きかけた。
A氏はこれに異を唱えながらも独立を決意。「ティーチングプロゴルフ協会」を設立して、締め出された若手プロを同志として糾合し、新たな団体を立ち上げた。ところが、設立後、AONを中心とするゴルフブームが起きて練習場の活気が戻ると、PGAはA氏に圧力をかけてティーチングプロの名称をはく奪する行為に出たのだった・・・・。
経緯の細かいところは失念したが、概略このような変遷などを経て、男子ゴルフ界は紆余曲折を経験している。実はこの間の経緯については、何も記録が残っていない。そのことがまず、問題なのだ。話を戻すと、女子プロの世界も、重鎮のなかに意見の対立がある。今回、笠りつ子の事件は、岡本綾子氏の指摘で明らかになった。業界改善を願っての発言だったが、事実の認定以外は、なんら対策が取られていない。いずれこの世界で難題が勃発するのは間違いない。