ビルマのできごと

6年前に民主化に移行したといっても、国会議員の4分の1は軍人枠で固定され、それを改めるには4分の3以上の賛成がなければできない憲法が現存している以上、こうなるのは、残念だが火を見るよりも明らかだった。

 

多くの少数民族を抱え、中国やベトナムなどの共産圏を周囲に囲まれてきただけに、政情は昔から複雑だった。我々から見ると多民族国家というのは容易に想像しにくい。信仰する宗教の違いで差別や区別、階級制度もある。インドなどは道に捨てられた牛の糞を清掃する階級が決まっているという。そこまで極端でなくても、信奉する宗教の違いは民族間で争いの原因になる。

 

 

経済成長もゆるく、因習に囚われている途上国は余計だ。少しずつ近代国家に移行していけばいいのだが、長い民族間の紛争の歴史の中で融和を求める政治体制が国の制度として浸透するのは容易ではない。

 

こういう国では唯一、組織的に統制の取れているのが軍隊である。イギリスや日本からの独立が国家形成の大きな転換点になっているこの国は、国軍が民主政治をおのれの血に浸み込ませるすべを持っていない。利権をもたらす企業を数多く作り、甘い汁を吸って生きたはずだ。それを奪う勢力を放っておくことはできない。国軍の真意はそこにある。

 

五輪の組織委員会の長のことでうつつを抜かしている場合ではない。