井の中の蛙

視野が狭い喩えに使われるこの言葉が、最もふさわしいのではないか。高校ビッグ3とおだてられ、鳴り物入りでプロ入りしたガキは、そこそこの打者になっても世間を舐めていた。しかし捨てる神と拾う神が仲良しで、人気球団に救われた。

 

悪童ぶりは高校時代からというから、強豪野球部でもその実力は無視できず、その増長が人間としての成長を追い越したのだろう。ここまではよくある話で、手が付けられないといってもまだ大した悪事ではなかった。しかしプロ入り後、レギュラーの座をつかんだ後は、稲葉や糸井などベテランが去り、ダルビッシュや大谷がメジャーに移り、気がついたら中田が若手の中で実力者で年長者になって、諫める相手をなくした。

 

 

栗山監督は二言目には「オレの責任」などと言って選手を思いやる良心の指揮官を演じて見せるが、しょせんは事なかれ主義のブリッコにしか映らない。こうなると中田はますます付け上がり、デカい態度でベンチ入りしても良いのだと錯覚してしまった。すべては中田の幼児性に帰着するのだが、球界は昔からこんなものである。杭が出ていれば誰かが打つ。古色蒼然とした体質は容易に変わらない。

 

巨人は移籍させて、あっさりと出場停止期間を終わらせた。ミスター長嶋まで出して移籍歓迎の芝居を打ち、正当化に躍起となった。中田の処遇と同じである。掟無用の振る舞いである。

 

中田の行いよりもさらに醜悪なのが、万波に対する誹謗中傷である。どの世界にでもこの手の差別主義者はいる。残念なことだが、人気商売のプロ野球でそれが露見するのは極力回避すべきだったs。しかもその映像が放置され、まさに球団公認のサイトだったことが二重に悲しい。万波選手の困ったような泣きたいような表情が、差別発言の数十倍悲しくなる。